子どもと絵本を楽しむために
Fun With Child
いよいよ絵本の黄金時代
4歳から5歳頃
絵本は、
読んでもらってこそ楽しめる
絵本の楽しさを知った子どもたちは、出来ることや行動範囲が広がれば広がるほど、楽しめる絵本の範囲も広がり、また自分では体験できないような冒険も絵本の中にあることがわかって、砂地が水を吸うように絵本を吸収してゆきます。この時期は、本格的な物語絵本に出会い、心ゆくまで楽しんでほしい時期です。そろそろ文字に興味が出てくるお子さんもいるかもしれませんが、絵本は、物語を耳で聞きながら、絵が語るストーリーを読み取るように作られていますから、大人でも、読んでもらったほうが何倍もその絵本を楽しめます。どうぞ、文字の読める子にも絵本を読んであげてください。
たとえば、『11ぴきのねこ』の最後の方に、大きな魚を捕まえたねこたちが「みんなに見せるまでは絶対食べないこと!」という約束をして、いかだで獲物の魚を引っぱっていくシーンがあります。やがて夜は更け、湖上が真っ暗闇になったあと、ページをめくると、“骨だけになった魚”の絵。文はただ、「よが あけました。」しかありません。そして最後のページでは、満腹でタヌキのお腹になったねこたちが…。おそらく、この展開を文章で表したとしたら、とてもまどろっこしいことになっていたでしょう。絵本でこそ生きるお話、絵本でしか表現できない痛快な展開です。
絵本選びに迷ったら
たくさんある絵本の中から、どんな絵本を読んであげたらいいのか、迷うこともあるでしょう。そんなとき、ひとつの目安になるのが、その絵本がどのくらい長く子どもたちに読みつがれ、版を重ねてきているのかがわかる、最後の“奥付ページ”です。初版の年月日が古くて、「第○刷」と書かれた印刷回数が多ければ、その絵本は時代を超えて、多くの子どもたちに読みつがれている絵本ということになります。
先ほどの『11ぴきのねこ』をはじめ、『わたしのワンピース』も『しろくまちゃんのほっとけーき』も100刷をはるかに越えるロングセラー絵本の代表です。そんな絵本を探せば、間違いなく子どもたちに楽しんでもらえることと思います。また、図書館が近くにある方は、児童室の司書や良い絵本のリスト等を頼りに何冊か借りてみて、お子さんが気に入った絵本を買ってあげるというのもいいかもしれません。
絵本を楽しんだあとは
そっとしておいて
子どもも大きくなってくると、せっかく絵本を読んであげても、ただ黙って聞いている、ということが多くなります。読み手としては、「おもしろいのか、おもしろくないのか?」「どこまで内容がわかっているのか…」と、ちょっと聞いてみたい気もしますね。でも、そこはじっと我慢して、どうぞそっとしておいてあげてください。読み終わったあとに質問が待っていると思ったら、絵本の楽しさは半減してしまいますし、ましてや、お話の途中で「これは何だかわかる?」なんて、質問を挟んだりしたら、子どもはストーリーの流れそのものを見失ってしまうかもしれません。 たとえお子さんが、感じたことをことばにしなくても、こころから絵本を楽しんだときには、必ず何か“良いもの”が子どもの中に残るはずです。