子どもと絵本を楽しむために
Fun With Child
初めてのおはなしの絵本
2歳から3歳頃
「あ、つながってる!」
という大発見
絵本の楽しみが少しずつわかってきた子どもは、ある日、「あっ、この絵がこうなるんだ!」と、ページとページのつながりに気づきます。それは、お話の絵本を楽しむことの出発点、とてもエキサイティングな発見でしょう。この時期には、『なにしてるなにしてる』や『ねずみさんのながいパン』のように、ひとつの絵から次の場面を想像してページをめくっていく、そんな楽しみが繰り返される絵本ぴったりです。
子どもたちは、「ページをめくるとこうなる」とわかっていても、いえ、わかっているからこそ、“予想と的中”というおもしろさを飽きるほどくり返し楽しみます。やがて、その全体がひとつのお話としてつながっていることもわかって、自然にお話の絵本の楽しみへと導かれていきます。うさぎさんのワンピースの柄が散歩をするうちに次々変わってゆく『わたしのワンピース』も、男女を問わず、この頃の子どもたちが大好きな絵本です。
シンプルなお話で
主人公との一体感を
3歳頃になると、日常生活の範囲もどんどん広がり、ことばも爆発的に増えていくことでしょう。この時期の子どもたちは、主人公が絵本の中で自分と同じことをするのを見つけると本当に喜びます。そんな子どもたちの多くをとりこにするのが、ロングセラーの『こぐまちゃんえほん』シリーズです。
着替えや食事、お風呂や排泄、遊びやケンカなど、どの子も経験することが、子どもたちの気持ちに添ったゆっくりしたテンポで、お話として展開するので、「自分のことが描いてある!」と思って、安心してついていけます。
ぽたあん、どろどろ…
耳に楽しい擬音がだいすき
『こぐまちゃんえほん』シリーズで一番人気があるのがしろくまちゃんとお母さんがホットケーキ作りをする『しろくまちゃんのほっとけーき』。なかでも子どもたちをひきつけているのが、フライパンがずらっと並んだホットケーキが焼ける場面です。「ぽたあん どろどろ ぴちぴちぴち ぷつぷつ…」というページを飽きるほど眺め、音を楽しみ、その音によって、想像してにおいまで楽しむというほど、子どもにとっては魅力的なようです。絵と同じくらい、耳からのおもしろさにも子どもはひきつけられるのです。
気に入った絵本は何度でも
読んであげてください
絵本を読んでもらうことが当たり前になった子どもたちは、もうこの頃になると、自分で選んだ絵本を「よんで!」と持ってくるかもしれませんね。その本が、来る日も来る日も同じ絵本だったら、読み手の大人はちょっとうんざりしてくるかもしれません。「たまには他の本にしたら?」と、ひと言いいたくなるのではないでしょうか? でも、そこはグッとこらえて、どうぞその絵本を読んであげてください。何十回、何百回と持ってくる絵本の中には、いま、あなたのお子さんにとって素晴らしく魅力的な何かがきっとあるのです。そんな大親友のような絵本に巡り合えたことを共に喜んで、どうぞ気のすむまで読んであげてください。また、そんな絵本はお下がりに出したりしないで、どうぞ大人になるまでとっておいてください。きっと一生の宝物になることでしょう。